腰の痛みの原因 [日記]

もう5年以上診させて頂いている患者さんが居る。

血が止まりにくい体質、でも鍼がやりにくいという気はしない。

刺鍼時の出血も特にない。

今回は、特別にそういう話ではない。


ある時を境に、鍼が効きにくく感じていた。

当然、見立てを再考する必要があると思った。

年齢的にも職業的にも腰痛が頻発し、改善し難い傾向にある。

臀部に痛みがあると訴える。

触診しても特筆すべき所見はなかなか見つからない。

膝を傷めている、因ってその代償としての腰痛という事も考えられた。

ただ、今回はそういう類の疼痛とは無関係だったようだ。



身体各部の疼痛、食欲不振、胃部不快感、肩凝り、主だった訴えは適宜対処してきた。

その度に一定の効果は残してきたつもりだ。

それは患者さん自身が納得している。

が、僕自身に納得いかない部分があった。

それが何であるか…分からなかった。



神経痛。

確かに神経痛と診断するに値する症状はあったが、いつからか、それが当てはまらなくなっていた。

結論から言うと

乳がん由来の骨転移による癌性疼痛だった…ということで一応理解している。



先月から抗がん剤による治療が開始されている。

もし、もう少し早く発見していれば、今よりもっと予後が良かったのかもしれない。

自分の治療に慢心があったのか、そもそも知識が足りないだけだったのか、そのところは実際分からない。

市が実施しているマンモグラフィーで発覚した。

他のドクターもそれまで誰も気づかなかったが、専門外と言えばそうかもしれない。

整形外科医なら、今回の症例をどうやってクリアしたんだろうか…。

ただ、僕自身が一番多く診ていたという自覚があるから、どうしても自分に落ち度があると感じてしまう。



「何かがオカシイ…」

そう感じた時点で、もっと考えるべきだ。

その疑念は、まるで歯車に挟まった一粒の砂のようなものだったかもしれない。



患者さんは強い人だ…。

本当は不安で一杯なんだろうと思うが、微塵もその素振りを見せないようにしている。

「いい経験になったわね」
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elm

すごく精神力の強い方ですねえ。
by elm (2012-10-13 22:39) 

kaya

> elm 様

本当ですね。

頭が下がる思いです…。



by kaya (2012-10-14 14:39) 

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